一畫社について

一畫社は、「いっかくしゃ」と読みます。「畫」は「画」の旧字体です。現代に生きる者として現代に強い関心を持つ、と同時に、古い時代から学ぶことも大切だろうとの気持ちから、「畫」はあえて旧字体にしました。そして、石濤の「一画」(一畫)に、セザンヌの「筆触」(touche)の意味合いを勝手ながらに重ねて、一畫社としました。

一畫者、衆有之本、萬象之根。*
一画は、衆有の本にして、万象の根なり。
一画は、あらゆる形の根本であり、形をもつすべての存在の根源である。

Cezanne avait l’exécution fort lente,
il y apportait de plus une extrême réflexion.
Il n’a jamais donné une touche qui ne fût pas longuement pensée.
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セザンヌの制作は驚くほどゆっくりとしていて、
しかもそこには極度の省察が注ぎ込まれた。
彼は長い時間をかけて考え抜いた後でなければ、

決して一つの筆触を加えようとはしなかった。

Une touche ici, une touche là. ***
一つの筆触をこちらに、一つの筆触をあちらに。

Une touche après l’autre, une touche après l’autre … ***
筆触を一つ、また一つ……

* 石濤『画語録』。cf. 中国文明選14『芸術論集』(福永光司編著、朝日新聞社、1971年)

** Émile Bernard, Souvenirs sur Paul Cézanne. cf. エミル・ベルナール『回想のセザンヌ』(有島生馬訳、岩波文庫、1953年)
*** Joachim Gasquet, Cézanne. cf. ガスケ『セザンヌ』(與謝野文子訳、岩波文庫、2009年)